コラム

タッチパネル導入は、生産性改善に繋がるのか? ~知っておきたい導入店舗で起きている事象~


3c65a0bffd49540bd8e9e58fb4c016e9_m1

最近では回転寿司だけでなく、アルコール業態や、日常食業態にもタッチパネルを導入している店舗が増えてきました。
タッチパネルを導入する期待効果で最も大きいのが、ホールスタッフの「お客様へのオーダーテイク(注文受け)」動作が減ることによる、人件費(レイバーコスト)削減です。
また、オーダーテイクが不要になるだけでなく、ハンディの使い方を教える教育時間の削減にも効果が期待でき、加えてお客様が自分でオーダーする為、接客スタッフによるオーダー聞き取りミスも発生しないことも期待されています。

このように、人件費やスタッフの労働負荷・教育コストの削減というメリットが期待されるタッチパネル導入ですが、今回は、意外と知られていないタッチパネル導入による落とし穴、「導入したら逆にスタッフの負荷が増えてしまった」事例をご紹介したいと思います。

タッチパネル導入前後の比較

タッチパネル導入でオーダーテイク(注文受け)動作が削減され、ホールスタッフは、料理提供とバッシングに集中出来る状況を目論みタッチパネルを導入した店舗における、ホールスタッフのオペレーション負荷を測定した結果をご紹介します。

弊社にはタッチパネルの導入効果の検証(費用対効果)を行うために、オペレーション分析のご依頼を頂きました。

1

当該店舗は、食べ放題の業態で、お替りのご注文で、お客様からひっきりなしに呼ばれるため、ホールスタッフはせわしなくお客様の元へ伺わなければいけないという状況を緩和する為にタッチパネルを導入しました。

お客様への接客回数の導入前後を比較すると、お客様からのオーダー回数は減っていますが、商品提供回数が逆に増えてしまい、トータルで見るとお客様の元へ伺う回数は増えてしまい、結果としてタッチパネル導入後の方がホールスタッフの負荷は増えてしまう結果になってしまいました。

タッチパネル導入後に料理提供回数が増えるかについては、多くの会社でほとんど触れられることが無い議論ですが、その理由は至ってシンプルです。

タッチパネル導入前はホールスタッフを呼ぶ際にベルコールを設置していましたが、混雑時においてはすぐスタッフが対応出来なかったり、せっかくスタッフを呼ぶのだからまとめて注文しようというお客様の心理もあり、1回の注文でまとめてたくさんの料理や飲み物を注文していました。
ところが、タッチパネルを導入する事でお客様はいつでも気軽に注文できるようになり、例えばビール1杯注文して、その1分後にまたビールを1杯注文する事や、単品料理を1品ずつ数分置きに注文する等が発生するようになりました。

2
上の散布図は、同一テーブルのお客様が商品の提供を受けてから次の商品の提供を受けるまでの間隔を表しています。

この店舗では、導入前においては料理の提供を受けてから次の料理提供を受けるまでの間隔が約18分でしたが、タッチパネルを導入した事で、短いところで1分間隔、中央値でも6分間隔と非常に短い間隔で注文を頂くようになりました。
ホールスタッフが、ビールを提供した1分後に、また同じテーブルでビールの注文を受けるといった事が発生しています。

お客様の注文が分散し、スタッフがその都度お客様に料理、ドリンクを提供しなければならず、オーダーテイクが無くなる事のメリットよりも、提供における工数の方が圧倒的に増えてしまうといったことは、弊社クライアントのみならず、多くの導入企業で発生しております。

しかし、タッチパネル導入前と全く同じオペレーションを行うのではなく、タッチパネル導入を前提にオペレーションを変更することで、上記のような商品提供回数の負荷増加を防ぐことも可能です。

一方で、逆に外国人スタッフが多い事からお客様の追加注文が少なかった課題を、タッチパネル導入で解決し、売上130%伸長に成功した例もございますので、単純にタッチパネルを入れれば人件費が削減されるという事ではなく、タッチパネル用にオーダーテイク・デシャップ・商品提供のオペレーションを変更することで、タッチパネルの効果を十分に活かす事が出来るということを留意のうえ、導入検討頂ければと思います。

多額の投資をしてタッチパネルを導入したはいいが、導入後に逆にホールスタッフの負荷が増えてしまったということが起きないように、トリノ・ガーデンでは、タッチパネルを導入した場合にどのようなオペレーションを組むべきかの診断・分析、オペレーション構築をご支援させて頂いておりますが、自社の店舗がタッチパネル導入に向いている店舗なのか向かない店舗なのか、またタッチパネルを導入した時にすべきオペレーションについて等、是非一度度ご相談ください。