目に見える結果が出るプロジェクトから着手
── 当社のサービスの最初の印象は?
中原さん:純粋に、他にありそうでないサービスだな、と思いました。
もともと中長期的に、現場を分析して、オペレーションを設計したり改善したり、ということは社内で持つべき機能と考えていたのですが、なかなか時間も根気も必要なので先送りしていたところ、これをアウトソーシングできる会社があるというのは驚きでしたね。
いざ店舗のオペレーション分析をしてもらいましょう、となった時も、厨房とホールでいったら、われわれとしては「厨房から着手するべきだ」という考え方があったんですね。
というのも、オペレーション分析や生産管理の概念自体は、製造業に端を発しているものなので、より製造工程に近い厨房で導入するのが自然だ、と思っていたんですよ。
それが、トリノ・ガーデンさんは「一番目に見える結果を短期で出しやすいのはホールなので」と、ホールからサービス導入をすることにしたんですね。
これが、「とくに厨房は、現場の強いこだわりがあるため、第三者がいきなり介入すると社内の抵抗が起きてしまう」「まずは目に見える結果が最初にあった方がいい」という理由だったのですが、こうしたリスクマネジメントというか、現場スタッフがどのように感じるのかなど、一手目から全体観を持って着手してくださったのはありがたかったですね。

── サービス導入後のギャップなどはありましたか?
中原さん:良い意味で、「こんなにウェットなんだ!」と思いました。
正直な話、データを見える化するというプロセス自体に対しては、あまり血が通わないというか、ドライな印象を持っていたんです。だけど、トリノ・ガーデンさんは取得したデータをカウントしたり、分析したりするのはすべて人力じゃないですか。
そこはただ数字を突きつけるだけじゃない、「人の手による分析」ということで、良い意味でウェットだったので安心しました。
やっぱりわれわれは、もともと超ウェットでエモーショナルな社風なので(笑)
数字だけをドライに突きつけられていたら、おそらく拒絶反応があったと思います。

ボトルネックの炙り出しで課題を再認識
── 印象に残っている分析はありますか?
中原さん:提供時間の遅速のボトルネックを特定するという分析ですかね。
ラーメンの提供時間が遅くなる要因って、調理作業が遅いのか、ホールスタッフができ上がったものを運ぶのが遅いのか、色々あると思うんですけど、オペレーションを見てもらったら伝票を確認するタイミングが遅いから、ということが可視化されたんですね。
これって、みんな薄々気づいてはいたと思うんです。だけど、そこを改善しようと思うと骨が折れることも見えている。だから、「伝票チェックのタイミングが原因」ということをデータとしてありありと見せられると、われわれも「結局ここかよ!」と(笑)。
納得せざるを得ないですよね。
なんとなくわかっていたようなことを、データとして再認識させられた分析でした。

社内のリアクションを先読みし打ち手を用意する
── 社内で反発などはありましたか?
中原さん:トリノ・ガーデンさんの分析結果を見て、耳の痛い思いをする人間もやっぱりいるわけですよね。だから、分析してもらったからといって、みんながみんな、行動を変えられるかというとそうではない。
ただ、トリノ・ガーデンさんはそうした社内での抵抗や反発も見越して、
「この結果を出すと、管理職からはこうしたリアクションがあると思います。そしたらこう手を打ちましょう」「この部署ではこの結果を見ると、こういう心情になることが予想されるので、この段取りでいきましょう」といった具合に、本部と現場の関係性や感情を考慮したうえで、打ち手を一緒に考えてくれるので、非常にやりやすかったですね。
ここが、ドライに数字だけを追っているようなコンサルタントとの違いだと思います。
あとは、どんなフィードバックをもらう時も、上から目線の指示がないんです。
誰がどう見てもAという施策をしたほうが良いというデータが出ている時でも、そのデータを見せてくれたうえで、「われわれはこう考えているけど、皆さんはどう考えていますか?」と聞いて、答えをわれわれに言わせてしまう、みたいな巧みさがありましたね。
データとして、数値としてAが良いというのが見えているわけですから、そう答えざるを得ない。でもトリノ・ガーデンさんは決して答えは言わない、われわれに言わせるんです(笑)。
逆にそうした姿勢が、われわれの抵抗感を和らげてくれたように思いますね。

見える化と数値化で社内に共通言語をもたらした
── われわれはどのような存在ですか?
中原さん:「見える化と数値化のプロ」でしょうか。
見える化ができなければわれわれは納得できないですし、議論にならない。
加えて、数字というのは世界共通言語じゃないですか。
外国人スタッフが増えている中で、「感覚的にニュアンスを伝える」ということがどんどんできなくなっています。
この個々人の感覚やニュアンスを数値化して共通言語化できるようになったというのはトリノ・ガーデンさんの大きな功績だと思います。