あらゆるデータを集め、人海戦術でカウント
── 当社のサービスをお知りになった最初の印象は?
野本さん:私が塚田農場を担当する前に参加した事業本部会議の際に、トリノ・ガーデンさんの事業内容や過去事例のプレゼンを聞いて、「すごくマニアックなことをやっている企業だな、どうやってこの数字やファインディングを出しているんだろう」とめちゃくちゃ興味が湧いたのを覚えています。
実は私自身、大学時代に管理工学科で統計解析やモデリングを専攻して、キャリアの最初はメーカーでマーケティングリサーチをしたりしていたんですよ。そういうバックボーンを持っている人間からすると、トリノ・ガーデンさんのデータは垂涎ものと言いますか(笑)。
現場にカメラを入れて、あらゆるオペレーションを数値化して、データ化していることはもちろん、これをもう野鳥の会のように人海戦術でカウントしていく。これがデータ分析を生業としてきた自分からすれば、もう全幅の信頼のおけるアプローチなわけです。
科学的なオペレーションの構築というのは、それこそメーカーとか、他の業種であればある種あたり前の概念ともいえるのですが、それをこれだけ属人性の高い外食業界において確立しているという点が、エクセレンスだなぁと、感じ入りました。
予算が許せば、もっと色々見ていただきたい(笑)。
一人ひとりの感覚値とファクトの数値の乖離を是正
原中さん:私自身は、すでに「塚田農場」のある店舗でトリノ・ガーデンさんの分析を導入した後に、店長会議でそのフィードバックを受けたのが最初の出会いだったと思います。
私は当時別の店舗で店長兼スーパーバイザーをしていましたが、その際に見せていただいた分析映像がとにかくショッキングだったのを覚えています。
というのも、店舗の入り口にお客さまが待っていらっしゃって、スタッフがそれに気づかずにご案内が遅れていて、確か3分強の待ち時間が発生していたと思うんですが。
この間にしびれを切らしたお客さまが帰ってしまわれる映像を突きつけられて、もう怖くて眠れなくなりましたね(笑)。
私も通常の営業で、入り口のお客さまをお待たせてしまうことがあることは認識していたんですね。こちらとしては、ほんの少しのことと思っていたのですが、この時間を計測したことはなかったので。
自分の感覚と実際の時間に大きな乖離があるということをとてもクリアに認識した瞬間でしたし、その衝撃は大きかったですね。
スタッフの意識の変化と経営サイドのソリューションの増加
── サービス導入前後で社内における変化はありましたか?
原中さん:トリノ・ガーデンさんの分析をもとに色々と変えるための施策を講じていこう、というタイミングでコロナ禍になってしまったので、実はまだ“ここを大きく変化させることができた”、という点を具体的に挙げることはできないのですが、スタッフたちの意識が変わったことはとても実感しています。
たとえば、毎月の事業本部会議の内容一つとっても、今までだったら「このクリエイトが良かった」「塚田農場らしいサービスだ」とか、フィードバックの内容は抽象的なものであることが多かったんです。
それが、「本質的なサービスってこういうことなんじゃないか」と、もっと具体的で建設的な議論をできるようになりました。
全社的にも、「これからこんなオペレーション改変をやっていく」という流れがある中で、その機運への抵抗感がないというか、トリノ・ガーデンさんに見てもらったことで、変化を受け入れる土壌が整えられたように感じます。
野本さん:確かに原中が言っている通りで、みんなの意識は大きく変化しましたね。
われわれのように、施策を打ち立ててスタッフたちに浸透させていく立場の人間の声がとても伝わりやすくなったように思います。
もちろんそこにはエモーショナルな部分も必要なんですけど、トリノ・ガーデンさんのおかげで、より一層ロジックが通っていないといけないんだということはみんなが認識してくれたし、われわれの声も、ファクトに基づいて発せられたものなんだとわかってくれているように感じますね。
あとは、やっぱり他の業界であればできたであろう課題解決の仕方が、外食業界では難しいと思っていたんですけど、トリノ・ガーデンさんのデータを見ていると、「これもできるんじゃないか」と気づきが増えたと言いますか。
われわれ経営サイドからすると、課題解決のソリューションの幅が一つ増えた、という変化はありましたね。
── もっとも印象に残っているデータは?
野本さん:社内で「いい接客をする」と評判だったスタッフの接客を録画してもらって、トリノ・ガーデンさんにこの接客のどこがどうすごいのか、そしてどこに課題があるのかということを分析してもらったんですが、これは驚愕しましたね。
この子のどこがすごいのか、ということが具体的かつ定量的に滔々と語られて(笑)。
それまで可視化されていなかったことが鮮やかに可視化されたことはやっぱり衝撃でした。
まず、あれだけのデータを取得して、計測できるという点だけでも、トリノ・ガーデンさんの価値は充分伝わると思うのですが、このデータをさらにマニアックな視点から分析して語ってくれるというのが、トリノ・ガーデンさんの真骨頂だと思うんです。
データを取ることや計測することと、分析して語ることは違うと思うんですけど、トリノ・ガーデンさんのすごいところは両方をやってのけるところなんですよね。
われわれ「塚田農場」には、各現場に暗黙知がたくさん散らばっていたんですよね。人材育成のあり方とか、接客のフローとか、定評があったけれども、他社と比べて何が秀でているのか、トリノ・ガーデンさんに強みを数値化・言語化してもらわなかったら誰も気づけなかった。
仕組みがすごいわけじゃなくて、センスのいい子が集まってくれていた。だけどこれからは、人材難の時代ですから。
このたまった暗黙知を、トリノ・ガーデンさんのお力添えで、集約して定量化して、研修コンテンツなどへ落とし込みしていけたというのはとても大きな成果でした。