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職人気質の社風の中に「定量的着眼点」を与えたパラダイムシフト

  • クライアント名

    株式会社アントワークス

  • 分野

    外食・食物販

  • プロジェクトテーマ

    収益・生産性の改善

    組織への浸透スピードの改善

  • 主幹部署

    経営企画/戦略

    営業/教育

  • プロジェクト実施期間

    2プロジェクト/2年

株式会社アントワークス様は、「伝説のすた丼屋」業態をはじめとし、「Denver Premium」「㐂久好」など全国で110店舗以上を展開されています。
これまでにもオペレーションに科学的な視点を取り入れたいという思いはあったものの、自社で実施することが難しかったなかで、同じ飲食業界で情報交換をしている株式会社ギフト様からのご紹介をきっかけに、取り組みをスタートいただきました。
代表取締役社長である早川さん、プロジェクトの責任者として伴走いただきました上席執行役員の江口さん、執行役員の日髙さんに取り組みへの感想と社内への影響についてお話を伺いました。

課題感

・業態の強み、伸びしろを明らかにし、売上・客数・CSの改善を図りたい
・パフォーマンスのバラつきを抑止するために、熟練スタッフの技を可視化したい
・セルフ化による影響を科学的に可視化し、効果を最大化したい
・本部で決めた施策の現場への浸透スピードを改善したい

何をおこなったのか

・ピーク時の売上、客数に影響を及ぼすパフォーマンス・プロセスを抽出
・課題プロセスを特定のうえ深堀り分析をし、改善施策を定義
・熟練度の異なるスタッフにおいて、同一環境での調理パフォーマンスを比較検証
・調理パフォーマンスへの影響が大きい動作において推奨動作を定義、動画マニュアル化
・セルフ化の前後におけるパフォーマンス・プロセスの変化量を可視化
・本部から現場への浸透、伝達ツールの分析、課題と改善策を抽出
・エリアマネージャーによる店舗とのコミュニケーションを可視化、課題を抽出

どうなったか

・ピーク時に発生している機会損失が明らかとなり、課題プロセスへの対策を定義
・ピーク時の調理作業負荷を予測する計算シートを作成し、負荷超過への対策を定義
・調理の作業負荷、パフォーマンスのバラつきを抑止する設備・レイアウト・動線を定義
・セルフ化の効果を最大化するためのオペレーションを定義、ツール化
・本部から現場への浸透、伝達ツールの作成方法と掲示方法を全店で定義し、実施
・エリアマネージャーの業務が可視化され、今後取り組むべき課題を定義

── オペレーション分析の導入にあたり、社内では当初、どんな反応がありましたか?

江口さん:まずきっかけは、「横浜家系ラーメン 町田商店」を展開する㈱ギフトさんのご紹介でしたね。オペレーションを分析して、さまざまな動きを「定量化」する企業ということだったんですけど、社内では「定量化ってまず何なの?」というところからのスタートでした(笑)。

そのために、正直御社のサービスに対しても、最初は「はてなマーク」、というか正しく理解されていない側面が大きかったのではないかと思います。もちろん、売上高だったり人件費であったり、という部分は別ですけど、それ以外のことに関してすべて数字で捉えて、展開していくという企業文化がほぼなかったんです。だから、分析を2〜3回してもらうくらいまでは、社内は半信半疑というか。

でも、回数を重ねていく中で、中谷社長から本部の上層部や役員は抜きで、現場のマネージャー陣と対話をする機会を作っていただいたことがあったんですよね。そのあたりから、現場の参画意識が芽生えて、徐々にその抵抗感が薄れていったような感じでしたね。

現場には職人気質の人間が多いこともあって、どうしてもこちらから「新しいことを採り入れていこう」「新たな取り組みをやってみよう」という要求がしづらい環境があったんですね。でも、その中でトリノ・ガーデンさんに「売上げを伸ばすための伸びしろがまだここにありますよ」と前向きなことを言ってもらえたのは、我々にとっても、現場にとってもすごく良かったな、と思うんです。

客観的な事実と数字が現場の意識を変えた

── 日高さんはプロジェクトに途中から参画いただいたと思います。合流いただいた時の印象はいかがでしたか?

日高さん:私はこのプロジェクトに途中から合流したんですが、実際にトリノ・ガーデンさんにいろんなところにカメラを設置していただいて、厨房のオペレーションを分析していただいて、そのフィードバックをいただいたところから、現場の意識が変わったのは印象的でしたね。そのフィードバックの内容が主観的なものでなくて、カメラ映像であったり、数字であったり、客観的事実に基づいたものになるので。現場の中にも、「この事実を受け止めて、改善していく余地があるよね」と認識を新たにできたのは良かったな、と思いますね。

── 逆に言えば、現場の皆さんのそれまでの認識と、事実との間には、ちょっと乖離があったということですよね。

江口さん:そうですね。特に、現場の熟練スタッフほど自分の技術を過信していたり、逆に入社歴の浅いスタッフはそうした熟練者の中で、誰を手本、基準としたらいいのかわからないという部分があったんです。では何を基準とするのか、というのを定量的に明文化できたのはトリノ・ガーデンさんの分析のおかげです。

あとは、中谷社長に教えていただいた概念の一つに、「信頼残高」という言葉がありまして。これは私も部下によく言うようになりました。

どういうことかと言うと、例えば、券売機の前にお客様が並んでいるとする。そこで待ち続けてくださるかどうかというのは、普段の提供時間だったり、客席の衛生環境だったり、商品のクオリティだったりという、日頃の営業態度でどの程度お客様に対して信頼を積み重ねられているか。その残高が左右するという概念です。このあたりに関しては、私もよく伝えるようにしていて、熱心に取り組んでくれる店舗も増えてきたりして、徐々に良い方向に変わってきている、という実感を持っています

暗黙の了解に科学的な裏付けが加わった、大きな転換点

── 社長は今回のプロジェクトをご覧になって、どのように感じていらっしゃいましたか?

早川社長:実は今回に限らず、これまで、外部のコンサル企業さんの指導を受けたことは過去に何度かあったんですね。しかし、そうしたコンサルを受ける中で、無駄を省いて効率化を追い求めるというのは当たり前の認識となりつつあったんですけど、それを「科学的にこうだから」と示してもらう機会は今回が初めてでした。

だから、トリノ・ガーデンさんに入ってもらって、様々なことをすべて数値化してもらって科学的に説明してもらって。定量的な着眼点というものを教えてもらった、というのは社内的に非常に革命的なパラダイムシフトになったと思います。

── 逆に、我々のサービスを受ける中で、課題に感じた部分はありますか?

江口さん:サービス内容に関してではなく、あくまで社内的課題ではあるのですが、フィードバックを受けた後の、現場への浸透スピードというのは一つ課題ですかね。例えば分析の結果、「こうしよう」と方針を打ち出して、それを各店舗に落とし込むまでの時間をもう少し早められたら、ということは感じています。この現場への浸透という点に関しては、私自身のアプローチの仕方や質を変えてもあまり変化がないんです。エリアマネージャー、店長、パートナーさん、というホットラインがうまく機能するように、プロジェクトの序盤からその点を意識して進められていたら、もしかしたらさらに良い結果があったかも知れません。

日高さん:そうですね。もちろん、我々は理解しているんだけど、現場は「なんでここを計測してるんだろう」「なぜこれを定量化するんだろう」という感じで、疑問を感じながらのスタートだったので。でも、フィードバックを受ける中で、確実に良い方向には動いてきているというのを実感します。

早川社長:そうですね。徐々に変わってきています。まだ時間は要すると思うんですが、トリノ・ガーデンさんに分析していただいたことを徐々に社内で内製化していけたらと思っていて。その都度お付き合いいただいて、様々な局面でサポートしていただけると助かります。

  • クライアント名

    株式会社アントワークス

  • 分野

    外食・食物販

  • プロジェクトテーマ

    収益・生産性の改善

    組織への浸透スピードの改善

  • 主幹部署

    経営企画/戦略

    営業/教育

  • プロジェクト実施期間

    2プロジェクト/2年

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